なぜデスフルランは難治性てんかん重積に有効なのか?
Why is desflurane effective for refractory status epilepticus?
富山大学医学部麻酔科学
佐々木利佳,廣田弘毅,高澤知規
【目的】難治性てんかん重積に対し,デスフルラン(Des)が奏功することが報告されている.今回我々は,独自に作製したラット嗅内皮質スライスを用い,Desによるてんかん発作抑制メカニズムを考察した(動物倫理A2021医-2).【方法】雄性ウィスターラットから脳を摘出し,嗅内皮質スライスを作製した.カルバコールによりθ波を誘発(θモデル),さらにビククリン(GABA受容体拮抗薬)により,てんかんモデル(εモデル)を作製し,神経ネットワークの統合と多様性のバランスを表す相互相関係数(CCF)を解析した.【結果】θモデルにおいてDesは濃度依存性にネットワークを断片化しCCFを抑制した.一方εモデルにおいてDesは二相性の効果を示し,6%ではCCFを増加,15%ではCCFを抑制した.【考察】神経ネットワークは3つのステージ(St)を持つ.St[+1]:統合されているも多様性がなくCCFは低い(εモデル).St[0]:統合と多様性のバランスがとれておりCCFは高い(θモデル).St[-1]:多様性はあるが統合されておらずCCFは低い(断片化).DesにはStを下方移動する効果がある.【結論】DesはεモデルにおいてSt[+1]=>St[0]=>St[-1]と下げることによりてんかん発作を抑制する.
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